園長の言葉 MESSAGE

ギ・モリセット園長

3月のホームページのために

園長 ギ・モリセット


 三月の到来にともなって、年長組がいよいよ卒園式を迎えることになります。卒園式によって、さゆりで過ごした三年間の生活も閉じることになります。卒園する子供が四月に小学校へと進み、そこで友達や先生の人数が今までより多くなり、また、6歳の児童として、せいちょうした結果、一段とたくましく自立することになります。卒園児の人生におけるこの大きな節目を機に、この2009年度の最後のことばを通じて、幼稚園と小学校をまたがるこの歳の子どもの「倫理観」について、思いついたいくつかのことを述べてみたいと思います。

 まず言えることは、6歳、10歳、15歳の子供の倫理観に基づいたしっかりした人生観を取り上げるのが、遅そすぎるのではないかと。なぜならば、子どもの人格の基盤は、生まれるときに築かれ、幼稚園から小学校へ上がる年頃は、人生におけるいくつかの重要な節目のひとつにすぎないではないかということからです。が、彼らは「物心のつく年頃」に達そうとする時期でもありますので、この成長段階に倫理観についてのいくつかの点についてふれてもよいと思います。

 まず第一に、なんと言っても正しい子どもの倫理観が両親の日々の指導と態度によって育つものだと言っても過言ではありません。倫理観の定義づけに欠かせないことばは、「善悪の分別、自分と他人を大切にすること」があります。この基本的な倫理観について子供が多方面から学ぶ機会がありますが、幼児時代から一緒に生活し、日々子どもと対話する親ほど、こどもの正しい道を教えることができる者はほかにありません。もし、親が、このもっとも大切な義務を怠るならば、こどもが自分かってに判断したり、他人や、映画やテレビのようなところから知識と行動のしかたを身につけ、そのような外部の影響は、多くの場合間違った方向へ子どもを導くものです。

 子どもの倫理観の育成にあたって、親は念頭に置かなければならない大事なことがひとつあります。それは、周りの出来事や人々が良いか悪いかについての判断は、子どもと親とは異なるということです。スイスの心理学者であるピアジェの本を読みました。特にその心理学者が書いた興味深いことは、発達するこどもの理性が踏む段階なのです。四つあります。

 第一段階においては、子供の善・悪の基準が、自分の行動の結果にあります。つまりほめ言葉や褒美、またはしかりや罰、というものです。
第二段階では、こどもにとってよいものは自分がほしいもので、わるいのは自分が嫌いなものです。
第三段階では、よいことした後のうれしさ、わるいことをやった後の残念な気持ち。この段階では、初めてこどもが自分の存在感に気付き、自分の判断力に自身を持ち始めます。
第四段階では、世の中のルールの合理性を理解した子どもが、目上の人の権威と社会秩序を尊重します。下品なことばを言うお父さんをしかったり、車のシートベルトをしめないお母さんに注意をしたりする年頃です。

6・7歳になる子どもは、他人の立場からものごとを見始めることができ、その結果、全人格において重要な心理的な変化が次々と起こします。これによって、本格的に「物心のつく年頃」に入ろうとします。

 卒園式を迎える保護者の皆様の子どもは、幼稚園にいる間にピアジェが上に述べた四段階を順調に通ったと確信します。理性と倫理観を歳とともに身につけた状態で、自立できるぴかぴかの小学校一年生に間もなくなることを心から喜ぶとともに、これからも神様に子供が守られるようにお祈りいたします。


園長 ギ・モリセット
2010.3.1

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